その事実は、宇宙膨張の発見から三十数年後、まったく偶然のことから発見されました。電話の発明で有名なアメリカの発明家ベルがつくった会社の研究所に勤めていたペンジアスとウィルソンのふたりは、1960年代、衛星通信の研究のため、非常に感度のよいアンテナをつくっていました。
衛星からの微弱な電波を受信するためには、ほかからやってくる電波(これを雑音といいます)を注意深く取り除く必要があります。ほとんどの雑音は原因がはっきりして取り除くことができましたが、最後まで消えない雑音がありました。彼らはアンテナに潜り込み、表面にこびりついた鳩のふんまで落として、雑音の原因を追究しましたが、どうしても消すことができなかっためです。
1965年、原因不明の雑音をくわしく分析した彼らは。それが地球上から出たものではないことを発見しました。というのは、24時間いつも同じ雑音が、アンテナをどの方向に向けてもやってくるからです。もし地球のどこかから放出されている電波なら、一定の方向からやってくるはずです。つまりその雑音は、「宇宙のいたるところからやってくる」と結論せざるをえませんでした。ペンジアスとウィルソンは、何かはわからないが宇宙から非常に重要なメッセージを受け取っている、と確信したのです。
これが宇宙をくまなく満たす、温度にして絶対温度3度(より正確には2.726度。絶対温度3度は氷点下270度、摂氏0度は絶対温度273度に相当します)の電波の発見です。この電波が、じつは宇宙が現在の1000分の1の大きさのときに放出された光であることに気づくには、それほど時間がかかりませんでした。光の温度(エネルギー)は、波長か伸びるにつれて下がっていきます。宇宙膨張によって光の波長も伸ばされるので、光の温度はだんだん下がっていきます。逆にいうと、宇宙の大きさがいまの1000分の1のとき、光の温度はいまの1000倍の絶対温度3000度になるわけです。
くわしくは後で述べますが、温度が3000度に下かって初めて、光は何物にも邪魔されずにまっすぐ進めるようになります。そのときに出た光が宇宙膨張によって冷やされ、100億年のあいだ宇宙を漂った後、ペンジアスとウィルソンによって低温の電波として発見されたのです。ふたりは偶然にこの電波を見つけたのですか、この電波の存在を予言し、検出しようと実験の準備をしていたグループが、すぐそばのプリンストン大学にいたのです。ペンジアスたちからその雑音の話を聞いたグループの無念は、察するにあまりあります。
この発見から13年後の1978年、ペンジアスたちはノーベル賞をもらいました。プリンストン大学のグループより、さらに前の1950年代、ガモフという物理学者がこの電波の存在を予言していたことも、いまではよく知られています。この発見の意義は重大です。宇宙を満たす絶対温度3度の電波の存在から、100億年前の宇宙は灼熱の火の玉状態であり、現在われわれが見るような形で物質は存在できなかったことがわかるのです。
われわれの宇宙は、超高温、超高密度の火の玉状態から大爆発(ビッグバン)してはじまり、膨張するにつれて冷え、現在は絶対温度3度まで冷えた状態なのです。ペンジアスとウィルソンが見つけた電波は、大爆発の名残だったのです。このような宇宙の理論を「ビッグバン理論」といい、彼らか見つけた電波を「宇宙背景輻射」といいます。つぎに、宇宙のはじめにいったい何が起こったのか、ビッグバン理論をもっとくわしくお話ししましょう。思いもかけない大事件が、次々に起こったのです。
アインシュタインの誤算
2014/9/18
いまから70年前、アメリカのハッブルという天文学者か、奇妙なことに気づきました。当時はようやくアンドロメダ星雲のような天体が、われわれの銀河系のなかではなくはるか彼方にあり、われわれの銀河と同じくらいの大きさであることが知られたばかりでした。というわけで「星雲」ではなく、「アンドロメダ銀河」と呼ぶほうが適当でしょう。
ハッブルは、遠方にある多くの銀河を観測しているうちに、それら銀河のほとんどすべてがわれわれから遠ざかっており、しかもその速さは遠くの銀河ほど大きなことに気づいたのです。四方八方の銀河が遠ざかっていくということは、われわれが宇宙の中心にいることを意味するのでしょうか?
われわれが宇宙の中心にいるというのは優越感をくすぐる考えですが、そんなことはありそうもないと科学者は考えます。ハッブルはこれを「宇宙が膨張しているからだ」と説明しました。銀河自信が運動しているのではなく、銀河と銀河の間の空間が伸びているというのです。そんなことは可能でしょうか?
ハッブルの解釈に複雑な思いを感じたのは、アインシュタインです。彼はハッブルの発見の10年以上も前に、空間が膨張あるいはその反対に収縮する可能性を指摘していました。アインシュタインの一般相対性理論と呼ばれる重力の理論では、物質の存在はそのまわりの空間を曲げ、そればかりか時間までも遅らせるのです。宇宙のなかの物質は全体として、空間を伸ばしたり、縮めたりするのです。アインシュタインは一般相対性理論を宇宙全体に適用し、このことに気づきました。
ところが彼は、「宇宙は不変であり、宇宙にははじめも終わりもない」と固く信じていました。このため今日、「宇宙定数」と呼ばれる重力と釣り合う力を導入し、膨張あるいは収縮を力ずくで止めてしまったのです。ハッブルの発見を知ったとき、アインシュタインは宇宙定数を導入したことを後悔したといいます。じつは、アインシュタインがつくったはじめも終わりもない静かな宇宙は、ちょっとつつくとすぐ膨張あるいは収縮しだすような、きわめて不安定な宇宙であることがわかっています。彼の永遠の宇宙はしょせん、はかない夢だったのです。
宇宙が膨張しているということは、たとえば現在、われわれの銀河から10億光年離れた銀河は、過去の宇宙ではもっと近くにあったことになります。その銀河がどれだけの速さで遠ざかっているのかがわかれば、いつその銀河がわれわれの銀河に重なっていたか、つまり「いつ宇宙がはじまったか」がわかるはずです。そうして出てきた答えが、100億年なのです。遠くの銀河ほど速い速度で遠ざかっているので、すべての銀河はわれわれからの距離に関係なく、100億年前には一点に集まります。
じつは、距離の測定は非常にむずかしく、現在のところ遠くの銀河の距離は正確にはわかりません。一部の研究者は、宇宙年齢はむしろ200億年くらいと主張しています。ここでは100億年ということで話を進めましょう。いうまでもありませんが、われわれの銀河が宇宙の中心に位置しているわけではありません。10億光年先の銀河に住んでいる宇宙人から見ると、われわれの銀河か彼らから遠ざかっているように見えるのです。
要するに、時間をさかのぼればどの銀河同士の間隔もだんだん小さくなっていって、100億年前には間隔がゼロになり、すべての銀河が重なっていたのです。もちろん、その上うな時期には銀河は存在しないので、実際に銀河が100億年前に重なるわけではありません。100億年前、宇宙がどうなっていたのかを知るには、もうひとつの観測事実が必要なのです。
ハッブルは、遠方にある多くの銀河を観測しているうちに、それら銀河のほとんどすべてがわれわれから遠ざかっており、しかもその速さは遠くの銀河ほど大きなことに気づいたのです。四方八方の銀河が遠ざかっていくということは、われわれが宇宙の中心にいることを意味するのでしょうか?
われわれが宇宙の中心にいるというのは優越感をくすぐる考えですが、そんなことはありそうもないと科学者は考えます。ハッブルはこれを「宇宙が膨張しているからだ」と説明しました。銀河自信が運動しているのではなく、銀河と銀河の間の空間が伸びているというのです。そんなことは可能でしょうか?
ハッブルの解釈に複雑な思いを感じたのは、アインシュタインです。彼はハッブルの発見の10年以上も前に、空間が膨張あるいはその反対に収縮する可能性を指摘していました。アインシュタインの一般相対性理論と呼ばれる重力の理論では、物質の存在はそのまわりの空間を曲げ、そればかりか時間までも遅らせるのです。宇宙のなかの物質は全体として、空間を伸ばしたり、縮めたりするのです。アインシュタインは一般相対性理論を宇宙全体に適用し、このことに気づきました。
ところが彼は、「宇宙は不変であり、宇宙にははじめも終わりもない」と固く信じていました。このため今日、「宇宙定数」と呼ばれる重力と釣り合う力を導入し、膨張あるいは収縮を力ずくで止めてしまったのです。ハッブルの発見を知ったとき、アインシュタインは宇宙定数を導入したことを後悔したといいます。じつは、アインシュタインがつくったはじめも終わりもない静かな宇宙は、ちょっとつつくとすぐ膨張あるいは収縮しだすような、きわめて不安定な宇宙であることがわかっています。彼の永遠の宇宙はしょせん、はかない夢だったのです。
宇宙が膨張しているということは、たとえば現在、われわれの銀河から10億光年離れた銀河は、過去の宇宙ではもっと近くにあったことになります。その銀河がどれだけの速さで遠ざかっているのかがわかれば、いつその銀河がわれわれの銀河に重なっていたか、つまり「いつ宇宙がはじまったか」がわかるはずです。そうして出てきた答えが、100億年なのです。遠くの銀河ほど速い速度で遠ざかっているので、すべての銀河はわれわれからの距離に関係なく、100億年前には一点に集まります。
じつは、距離の測定は非常にむずかしく、現在のところ遠くの銀河の距離は正確にはわかりません。一部の研究者は、宇宙年齢はむしろ200億年くらいと主張しています。ここでは100億年ということで話を進めましょう。いうまでもありませんが、われわれの銀河が宇宙の中心に位置しているわけではありません。10億光年先の銀河に住んでいる宇宙人から見ると、われわれの銀河か彼らから遠ざかっているように見えるのです。
要するに、時間をさかのぼればどの銀河同士の間隔もだんだん小さくなっていって、100億年前には間隔がゼロになり、すべての銀河が重なっていたのです。もちろん、その上うな時期には銀河は存在しないので、実際に銀河が100億年前に重なるわけではありません。100億年前、宇宙がどうなっていたのかを知るには、もうひとつの観測事実が必要なのです。
— posted by 宇多元 at 12:33 am
宇宙のはじまりはいつ?「宇宙のはじまりを議論できる観測」とは
昔から人々は、世界のはじまりを漠然と考えてきました。それぞれの文明では、神話で世界のはじまりを論じています。この場合の「世界」とは、われわれが「宇宙」と呼ぶものと考えてよいでしょう。
有名なところでは、旧約聖書の天地創造の話があります。それによると、神がまず「光あれ」といい、天と地をつくったといいます。余談になりますが、ヨーロッパでは中世まで聖書の話は事実だと信じられ、アイルランドのアッシャーという人は、聖書に載っている人々の年を数え上げて、神が世界をつくったのは紀元前4004年だと断言しています。
また、あのニュートンでさえ、天地創造は紀元前3988年といっているのです。当時最高の頭脳でも、時代の束縛から逃れるのはむずかしかったのです。ところで現代のわたしたちは、宇宙のはじまりについてどんなことを知っているのでしょう。本当に宇宙にははじまりがあったのでしょうか?
われわれが昔の人と違うのは、宇宙のはじまりといった日常経験とまったくかけ離れた問題に対しても、宗教ではなく観測に基づいて議論をしていくことです。しかし、「宇宙のはじまりを議論できる観測」とは、いったいどんなものなのか。まずはそこから話をはじめましょう。
有名なところでは、旧約聖書の天地創造の話があります。それによると、神がまず「光あれ」といい、天と地をつくったといいます。余談になりますが、ヨーロッパでは中世まで聖書の話は事実だと信じられ、アイルランドのアッシャーという人は、聖書に載っている人々の年を数え上げて、神が世界をつくったのは紀元前4004年だと断言しています。
また、あのニュートンでさえ、天地創造は紀元前3988年といっているのです。当時最高の頭脳でも、時代の束縛から逃れるのはむずかしかったのです。ところで現代のわたしたちは、宇宙のはじまりについてどんなことを知っているのでしょう。本当に宇宙にははじまりがあったのでしょうか?
われわれが昔の人と違うのは、宇宙のはじまりといった日常経験とまったくかけ離れた問題に対しても、宗教ではなく観測に基づいて議論をしていくことです。しかし、「宇宙のはじまりを議論できる観測」とは、いったいどんなものなのか。まずはそこから話をはじめましょう。
— posted by 宇多元 at 12:31 am
今の技術で宇宙はどこまで見えるのか?
2014/9/17
超銀河団より大きな構造が宇宙にあるかどうかは、じつのところまだわかっていません。われわれが原理的に観測可能な空間の広がりは、われわれのまわりの半径約100億光年ほどの球内です。これは宇宙の大きさが半径100億光年の球で、われわれがその中心にいるということではありません。宇宙のどこからでも、そのまわりの半径約100億光年の球内が観測できるのです。このことが意味するのは、「宇宙はいまから100億年ほど前にはじまった」ということなのです。
100億年の間に光は100億光年しか走れないので、それより遠くは見えないのです。宇宙はいまから100億年ほど前に「ビッグバン」と呼ばれる大爆発ではじまり、そして現在も膨張している、というのか現代宇宙論の基礎になっている考えです。さて、直径200億光年に及ぶ空間が、われわれの観測できる宇宙です。そのなかに超銀河団が1億5000万光年ほどの平均間隔で存在しています。その間は「ボイド」と呼ばれ、銀河がほとんど存在しないと考えられています。さらに、4億光年間隔で銀河が密集している領域がくり返されているともいわれています。
超銀河団は、平均間隔4000万~5000万光年で銀河団を含み、そしておのおのの銀河団は、数百万光年の間隔で銀河を含んでいます。そしておのおのの銀河は数光年の間隔で1000億程度の恒星を含んでいるのです。これが現代天文学の描き出す宇宙の姿です。広大な空間に対して、物質は非常にまばらにしか分布していないのです(ダークマターが存在したとしても、重力を及ぼす以外ほとんど何の影響も与えません)。
さて最初のクエスチョンに戻りましょう。宇宙は膨張しているのですが、いまはそれを忘れましょう。また星は、銀河のなかに平均間隔で無限の空間に分布しているとしましょう(宇宙膨張や先に述べたような階層構造を考慮すると、さらに大きな値が得られます)。光をさまざまな方向に発射すると、ある光はすぐ星にぶつかり、あるものはなかなかぶつかりません。したがって特定の方向に発射した光ではなく、何本もさまざまな方向に光を出して、それらが星にぶつかる距離の平均を考えてみましょう。
このように平均すると、光が星にぶつかるまでになんと10の23乗(1の後に0が23個つく)年走りつづけなければならないのです。宇宙の年齢は、100億年=10の10乗年ですから、平均すると、その10の13乗倍、すなわち10兆倍もの時間を走りつづけて、ようやく星にぶつかるのです。もちろん、ぶつかる先は原理的に観測できる領域のはるか彼方です。満天の星は夜空を埋め尽くすように見えますが、実は空間の広大さに比べて星の数は取るに足らないのです。
100億年の間に光は100億光年しか走れないので、それより遠くは見えないのです。宇宙はいまから100億年ほど前に「ビッグバン」と呼ばれる大爆発ではじまり、そして現在も膨張している、というのか現代宇宙論の基礎になっている考えです。さて、直径200億光年に及ぶ空間が、われわれの観測できる宇宙です。そのなかに超銀河団が1億5000万光年ほどの平均間隔で存在しています。その間は「ボイド」と呼ばれ、銀河がほとんど存在しないと考えられています。さらに、4億光年間隔で銀河が密集している領域がくり返されているともいわれています。
超銀河団は、平均間隔4000万~5000万光年で銀河団を含み、そしておのおのの銀河団は、数百万光年の間隔で銀河を含んでいます。そしておのおのの銀河は数光年の間隔で1000億程度の恒星を含んでいるのです。これが現代天文学の描き出す宇宙の姿です。広大な空間に対して、物質は非常にまばらにしか分布していないのです(ダークマターが存在したとしても、重力を及ぼす以外ほとんど何の影響も与えません)。
さて最初のクエスチョンに戻りましょう。宇宙は膨張しているのですが、いまはそれを忘れましょう。また星は、銀河のなかに平均間隔で無限の空間に分布しているとしましょう(宇宙膨張や先に述べたような階層構造を考慮すると、さらに大きな値が得られます)。光をさまざまな方向に発射すると、ある光はすぐ星にぶつかり、あるものはなかなかぶつかりません。したがって特定の方向に発射した光ではなく、何本もさまざまな方向に光を出して、それらが星にぶつかる距離の平均を考えてみましょう。
このように平均すると、光が星にぶつかるまでになんと10の23乗(1の後に0が23個つく)年走りつづけなければならないのです。宇宙の年齢は、100億年=10の10乗年ですから、平均すると、その10の13乗倍、すなわち10兆倍もの時間を走りつづけて、ようやく星にぶつかるのです。もちろん、ぶつかる先は原理的に観測できる領域のはるか彼方です。満天の星は夜空を埋め尽くすように見えますが、実は空間の広大さに比べて星の数は取るに足らないのです。
— posted by 宇多元 at 12:34 am
銀河団と超銀河団も何かに引きずられている
さて、マゼラン星雲の約10倍の彼方に、われわれの銀河系と同じくらいの大きさの渦巻きの形をした銀河が見えてきます。これが有名なアンドロメダ星雲です。アンドロメダ星雲は、肉眼でも容易にその茫洋とした光の広がりを見ることができます。その光も約230万年という膨大な時間をかけて地球に届いたものです。したがって、われわれがいま見ているアンドロメダ星雲の姿は230万年前の姿なのです。
われわれの銀河が大小マゼラン星雲をしたがえているように、アンドロメダ星雲も小さなふたつの銀河をしたがえています。ふつう銀河は単独で存在せず、群れをつくっています。たとえば、われわれの銀河とアンドロメダ星雲を含む半径約250万光年ほどの空間には約20個の銀河があり、この集団を「局所銀河群」と呼んでいます。銀河には渦巻きや楕円のようなものから、形があまりはっきりしないものまで、その形や大きさにはさまざまな種類があります。それらがどのようにして形成されたかは、現代宇宙論の未解決の問題のひとつです。
局所銀河群を離れること5000万光年ほどの彼方に、「乙女座銀河団」と呼ばれる銀河の大集団があります。これだけの大きな距離になると、はっきりとこの値であるとは現在のところいえず、2倍程度の不確定さがつきまといます。以下、数値をあげる場合、このような不確定さがあることを念頭においてください。現代天文学のひとつの目標は、この不確定さをなくすことでもあるのです。
銀河団はだいたい100ほどの銀河か集まった集団ですが、それよりも大きな銀河の集団である超銀河団も知られています。われわれの銀河を含む局所銀河群や乙女座銀河団も、じつはそのような超銀河団の一員にすぎないと現在では考えられています。この超銀河団を「局所超銀河団]と呼んでいます。隣の超銀河団は「うみへびケンタウルス超銀河団」と呼ばれ、1億光年ほど彼方にあります。ごく最近の観測では、われわれの超銀河団もうみへびケンタウルス超銀河団も、ともにさらに遠くにある何物かに引きずられているといわれています。
われわれの銀河が大小マゼラン星雲をしたがえているように、アンドロメダ星雲も小さなふたつの銀河をしたがえています。ふつう銀河は単独で存在せず、群れをつくっています。たとえば、われわれの銀河とアンドロメダ星雲を含む半径約250万光年ほどの空間には約20個の銀河があり、この集団を「局所銀河群」と呼んでいます。銀河には渦巻きや楕円のようなものから、形があまりはっきりしないものまで、その形や大きさにはさまざまな種類があります。それらがどのようにして形成されたかは、現代宇宙論の未解決の問題のひとつです。
局所銀河群を離れること5000万光年ほどの彼方に、「乙女座銀河団」と呼ばれる銀河の大集団があります。これだけの大きな距離になると、はっきりとこの値であるとは現在のところいえず、2倍程度の不確定さがつきまといます。以下、数値をあげる場合、このような不確定さがあることを念頭においてください。現代天文学のひとつの目標は、この不確定さをなくすことでもあるのです。
銀河団はだいたい100ほどの銀河か集まった集団ですが、それよりも大きな銀河の集団である超銀河団も知られています。われわれの銀河を含む局所銀河群や乙女座銀河団も、じつはそのような超銀河団の一員にすぎないと現在では考えられています。この超銀河団を「局所超銀河団]と呼んでいます。隣の超銀河団は「うみへびケンタウルス超銀河団」と呼ばれ、1億光年ほど彼方にあります。ごく最近の観測では、われわれの超銀河団もうみへびケンタウルス超銀河団も、ともにさらに遠くにある何物かに引きずられているといわれています。
— posted by 宇多元 at 12:28 am