宇宙のはじめに何か起こったか?

「雑音が教えた宇宙のはじめ」では宇宙膨張の発見と、宇宙を満たす光の発見の話をしました。このふたつの発見によって、わたしたちは時間をはるかにさかのぼって、宇宙のはじめのようすを知ることができるのです。ここではその話をしましょう。最初に、光の温度とは何を意味するのか、はっきりさせておきましょう。物体を熱すると赤くなります。それは赤い光が放出されるからです。さらに熱くすると黄色くなり、そして白くなっていきます。熱せられた物体から出てくる光の波長がだんだん短くなり、短くなるにつれ色が変わっていくからです。

ということは、光の色あるいは波長を見れば、それがどんな温度の物体から出たかがわかることになります。この光を放出する物体の温度をもって、「光の温度」ということにします。温度が高い物体から出た光ほど、波長が短くエネルギーか大きくなります。1965年に発見された光の波長は、ちょうど絶対温度3度(氷点下270度)の物体から放出される光の波長と同じだったのです。

では、その光はどんな物体から放出されたのでしょう?この宇宙には、温度(以下、温度の値はすべて絶対温度で測ったものとします)が3度の天体が満ちていて、それから光が放出されているのでしょうか。この解釈は当てはまりません。なぜなら、この光はあらゆる方向からまったく均一にやってくるからです。もし特定の天体からだとすれば、方向によって光に強弱があるはずだからです。したがって光の原因は、個々の天体ではありません。

とすればこの光は、いったいどこからきたのでしょうか。もちろん、われわれの見る自然の光のほとんどは太陽が出しています。太陽表面の温度は6000度なので、それに対応する波長の光が出ています。ここでいう光とは、太陽をはじめとする星の光をすべて消したとしても、残っている光のことです。あらゆる明かりをすべて消しても、宇宙は真っ暗ではないのです。

— posted by 宇多元 at 02:17 pm