銀河は宇宙の最小単位

太陽系を離れると、果てしない空間がつづきます。太陽系の大きさの1万倍くらいまで行ったとき、初めていちばん近い恒星(太陽のように自ら輝いている星)に出会います。このくらいの距離になると、天文単位で測っていては追いつきません。そこで光が1年で走る距離、すなわち「1光年」を使います(ほかに「パーセク」という単位も使われますか、話がややこしくなるので、この定義には触れませんか、1パーセクは約3.26光年です)。光年でいうと、いちばん近い恒星までの距離は4光年ほど。つまり光の速度で行っても、4年かかるのです。

このようなまばらな間隔で星が2000億個程度集まった集団が。われわれの銀河系です。銀河系の形は、半径がだいたい5万光年、厚さがだいたい3000光年という薄い円盤状で、中心部に直径1万光年の「バルジ」と呼ばれる球状の星の集団をもち、ゆっくりと回転しています。

太陽は、銀河系のかなり端のほうにあって、銀河中心から3万光年ほど離れています。そして2億年から3億年で中心のまわりを1回転しています。何万光年とか、何億年というスケールになると、もう実感できませんね。銀河は宇宙の構造の最小単位とみなされるものですが、ここでもうわれわれの実感は伴わなくなってきます。

しかし宇宙の大きさは、こんなものではないのです。じつは銀河系の大きさは、もっと大きいことがわかっています。というのは、「ダークマター」と呼ばれる光を出さない物質が、銀河系のまわりを大きく取り巻いていることかわかっているからです。

さらに銀河系ばかりでなく、全空間にダークマターが満ちていて、その重さは見えている物質の10倍にも及ぶと考えている研究者もいます。見えているものは、いわば氷山の一角かもしれません。「見えないのになぜその存在がわかるのか?」と疑問に思う人もいるでしょう。ダークマターの問題は現代宇宙論の大きな謎のひとつなので、後でくわしく触れることにしましょう。

さらに銀河系を離れること17万光年ほどで、すぐ隣の銀河である大小ふたつのマゼラン星雲に到達します。大マゼラン星雲の質量はわれわれの銀河の10分の1、小マゼラン星雲は60分の1ほどです。残念ながら北半球では、マゼラン星雲は見えません。1987年、大マゼラン星雲のなかに超新星が発見されました。これは核燃料を使い果たした星が自分自身の重さに耐えきれず、つぶれると同時に大爆発を起こしたものです。

じつは、星の最期である超新星と生命の起源は切っても切れない関係にあります。このことも後で触れることになります。ところで、1987年に超新星が発見されたといっても、実際に大マゼラン星雲で星が爆発したのは、17万年前です。それは光がわれわれに届くまでに17万年かかっているからです。

— posted by 宇多元 at 12:22 am